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『知っていますか? ドメスティック・バイオレンス 一問一答

 
  著者:日本DV防止・情報センター
  発行:解放出版社、2002年10月15日
  価格:1000円(税別)


 DV(ドメスティック・バイオレンス:夫・恋人からの暴力)について、わかりやすく、しかし大切なことが書いてある本です。
 三十番地キリスト教会は、世の男性諸君に、自分が知らずに行ってしまっているドメスティック・バイオレンスに気付くことを、強くお勧めします。

■「DV」(ドメスティック・バイオレンス)という言葉を知っていますか? 夫・恋人からの(圧倒的な確率で、男性から女性への)暴力のことです。といっても、殴る・蹴るだけが暴力と言うわけではありません。心理的にダメージを与えることも含みます。要するに、対等であるはずの関係が、支配と抑圧の関係になってしまうような、物理的・心理的、両面からの力の行使のことです。
  ある調査では8割の男性がなんらかの形でDVにあたる行為をしたとされていますが、おそらくDV的な考えや行為のない男性は皆無なのではないでしょうか。そして、残念ながら、まだほとんどの男性が、「自分のやっていることはDVである」ということに気付いていないのではないでしょうか。あるいは、「あなたのやっていることは暴力だ」と言われても一笑に付してしまうのではないでしょうか。
  しかし、三十番地キリスト教会は、大まじめに男性諸君に、自分の中のDVを見つめ、検証することを提案します。三十番地教会に寄せられてくる離婚・再婚に関する相談メールの内容には、必ずDVが背景にあります。

■かく言う私も、自分の結婚が破局に至る過程で、DV行為を数多く行うことで、相手の人を深く傷つけてしまいましたし、現在再婚してからも、自分のDV的な体質を克服するために闘っています。
  DVは、ほとんどの場合、親密な関係にある男性から女性に対して行われますが、私の場合は、皮肉なことに、自分がDVを受ける経験がDVの存在に気づくきっかけになりました。というのも、牧師になる勉強をする過程で、生活に必要な収入を妻の仕事に頼った時期があり、そのとき権力関係が逆転しました。その時、それまでの結婚生活でいかに自分が手前勝手な支配をしていたか(「誰に食わせてもらってると思ってるんだ!」)を知りました。また、このように、相手に収入がないことを利用して、精神的に侮辱を加えるのも、りっぱな暴力なのだということを知りました。そういう風に言われつづけた人間は、次第に自分はダメな人間であると思うようになり、無気力で自罰的になります。病気になったり自殺に追い込まれることもあるのです。
  まれな例かもしれませんが、他には職場の中で、男性同志であったとしても、DVに似た暴力がふるわれる場合もあります。1対1の上司と部下の関係で、いわゆる部下や後輩が「女房役」であることを要求されたときにも、その部下あるいは後輩は、上司または先輩の怒りのはけ口にされます。そして、そういう上司や先輩が、社外や他の部署に対しては、たいへん愛想もよく人当たりもよい人間であるかのようにふるまったりするのです。部署内で行われる暴言、威圧、嘲笑、軽蔑などの事実は誰にも知られないし、誰にも理解されないのです。わたしはそういう経験もしていますので、たとえばDVが「夫婦げんかは犬も食わない」と言われて無視されてきたことや、DVを振るっている側の男性が、自分のやっていることを「しつけ」だとか「教育」だとか「愛情表現」だと思っている場合があるということも、ある程度理解できるつもりです。

■自分が知らないうちに相手を不幸にしている、しかも、自分は相手を幸せにしてやっていると思い込んでいる。こんなおかしな関係が、恋愛関係でも、夫婦でも、親子でも、職場でも、とてつもなく蔓延しているのです。こんな社会を変えていかないと、本当の幸せな人生を手に入れることなんかできません。
  しかし、これだけDVが蔓延しているということは、それだけ世の中は男性優位社会ということですが、だからこそ、男性が自分で変わろうとする事で、社会にも家族にも恋愛にもいい影響を与えることができると思います。
  まず、男が変わらなくてはなりません。男が変われば、社会はもっと素敵になるのではないでしょうか。
  ですから、三十番地キリスト教会は、男性諸君にDVについて学ぶことを、強くオススメします。
  この本は、たいへんわかりやすく、DVとは何か、どうして起こるのか、どんな被害があるのか、被害者はどうすればよいのか、などなどを、まとめてくれています。
  (2003年2月7日記)


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