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『シネマで読む旧約聖書

 
  栗林輝夫(くりばやし・てるお) 著
  日本キリスト教団出版局
  2003年9月25日
  価格:2400円+tax


 「聖書片手に観る映画解説」ではなく、「シネマを通して語る聖書入門」なのです。
 

  著者もまえがき(といっても、これは映画のノリで書かれた本だから、「プレビュー」というサブタイトルになっているのだけれど)でことわっているように、この本は、映画解説が主体ではありません。そうではなく、映画に現れたさまざまなキリスト教的要素から、旧約聖書の世界をわかりやすく理解できるようにしよう、という本なのです。
  ですから、目次も、オーソドックスな旧約聖書入門書と同じように、「ユダヤ教と聖書」、「創世記」、「アダムとイブの物語」……という流れになっています。
  その一方で、目次のページを見れば、どういう映画を取り上げているか、ちゃんと題名を並べてありますから、自分の興味のある映画のほうから関連する聖書の物語についての記事を読むこともできます。

  旧約聖書は、天地創造というスケールもテーマも大きい物語から、洪水物語のような世界初のパニックものも収められているし、モーセの十戒の物語など、見どころが満載なので、関連する映画もたくさんで楽しいですね。三十番地キリスト教会牧師の個人的な興味としては、『タワーリング・インフェルノ』という映画が、こんなにも聖書的だったとは思いも寄りませんでした。また、旧約聖書の預言書や文学書についても、しっかりと、映画をリストアップしてくれているところが、この著者のすごいところというか、タダ者ではないところですね。

  もともとは著者の栗林先生が、関西学院大学での映画を使った人気講義から生まれてきたものだそうです。楽しくて、よくわかり、ためになる、いい本です。(2005年3月27日記)

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