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『聖☆おにいさん』(せいんと☆おにいさん)

 
  中村 光(なかむら・ひかる) 著
  講談社モーニングKC
  2008年1月23日
  価格:552円 (without tax)


 ブッダとイエスが天界から下界にバカンスでやってきました。こんな救い主なら近づきやすくていいね。
 

 仏教の開祖ブッダと、キリスト教の救世主イエスがが、二人そろって下界にバカンスにやってきて、東京は立川の安アパートで下宿を始めるという、わけのわからんコメディマンガの登場です。
 もはや人を救わなければならないという義務感もなく、とことん下界を楽しもうとやってきた二人が、あちこちで引き起こす騒動が、純粋にコメディとして面白いのですが、その上に、キリスト教と仏教についての知識も、けっこう詳しく、きちんとわかってくださっている上で、けっこうクオリティの高いギャグに仕上げてくださっているので、クリスチャンが読んでもじゅうぶん楽しめます。
 風呂屋でサウナに入っていたら、脇の刺し傷を見られてヤクザに仲間だと思われたりするイエスとか、満員電車の中で押しボタンに間違われて額を押されるブッダ。あるいはテンションがあがると、水をワインに変えてしまったり、石をパンに変えてしまったりするイエス。興奮して風呂屋のお湯を全部ワインに変えてしまったりとか、あまり紹介するとネタバレなのでもう言いませんが、とにかく一読の価値ありのマンガです。
 あ、それから、二人が着ているTシャツの文字も毎回変わりますので、これも注目だと思います。何回目かに「ヨシュア」という文字が出てくるのですが、著者はちゃんとイエスの名前がヘブライ語では「ヨシュア」だと知っておられるのですね。いやー、なかなかです。それに比べると、ブッダのほうのネタは「仏顔×3」とか、仏教そのものの知識というより、日本の一般的な風俗に根ざしている気がするので、著者はむしろキリスト教のほうに詳しい方ではないでしょうか。「×3」ネタで言えば、「知らない×3」というTシャツの文字が面白かったです。……ああ、もうこれ以上言っちゃダメですね。ぜひ現物を読んでください。
 このレビューを書いている現時点で、第2巻まで出ています。第3巻は2009年1月出版予定だとのことです。楽しみに待ちましょう。

 (2008年9月16日記)

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