『なぜ日本にキリスト教は広まらないのか』
古屋安雄(ふるや・やすお) 著 教文館 2009年6月10日 価格:単行本1,400円 (without tax) 日本の人たちにキリスト教を伝えたい。だからこそ発することのできる苦言。 あくまでプロテスタントの立場での話ですが、日本における宣教/伝道の問題点をストレートにとらえようとする本です。 まじめに伝道をしている人にとっては、読むのが恐ろしいようなタイトルだとは思います。というのも、この本を読むと「日本にはキリスト教は広まらない」と認めてしまうような気がするからです。 でも、勇気を出して読むべきでしょう。そして、本書が指摘するように、現段階でキリスト教の布教は、日本では失敗しているのだということを認めて、新しい歩みを踏み出す決意をするべきでしょう。 本書では、日本での宣教の失敗の原因として、明治時代に解禁されたキリスト教が、主に旧武士階級、それも戊辰戦争によって敗戦した幕府側の士族たちによって受け入れられたことに、ひとつの原因を見ています。 また、これからの日本のキリスト教は、賀川豊彦を再評価するべきであるという立場から論じています。 その細部においては賛否両論あるでしょうが、私は考えるに値する内容だと思いました。 この本を読んだあとも、目に付くところに置いていて、見えるたびに、「インテリ宗教脱出! 言葉だけの宗教脱出!体を動かす宗教者になろう!」と自分に言い聞かせています(笑)。 最初に申し上げましたように、本書はあくまでプロテスタント、それも日本キリスト教団に近い立場で書かれています。ですから、カトリックの方々、またプロテスタントでもいわゆる福音派の方々は、また別の宣教論をお持ちだと思います。そういう意味では、あくまで限定された視野ではありますが、それでも、本書に学ぶべきところは大きいと思います。本書を参考にしながら、カトリックの方々の意見も聞き、今後の日本のキリスト教のあり方を考えればいいのではないかと思います。 いくつかの講演や寄稿をもとに編集されているので、何度か同じことの繰り返しが出てきますが、そこさえ気にしなければ、話し言葉で書かれたわかりやすい本です。 伝道に関心があるという方には、ひとつの問題提起、考えを深める材料として読むことをおすすめします。 (2010年1月24日記) |
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