三十番地図書室:「オススメします」のコーナー
ロドニー・スターク著、穐田信子訳 『キリスト教とローマ帝国』 | ||||
Rodney Stark(ロドニー・スターク)著 穐田信子(あきた・のぶこ)訳 新教出版社 2014年10月1日 価格:3,200円 (+税) 初期キリスト教会の歩みは現代の教会の伝道に問いを投げかける 大変興味深い本です。 副題に「小さなメシア運動が帝国に広がった理由」とあります。 日本での伝道が伸び悩んでいるなかで、同じ多神教の環境のなかで教勢を伸ばしてゆき、最終的にはローマの国教となった初期キリスト教の歴史に、何か学ぶところがあるのではないかと思うのは当然だと思います(と少なくとも私は思います)。 この本は、社会学的な手法を用いて、初期キリスト教がいかに拡大していったかということを分析しています。 これまで私たちも漠然と「キリスト教の熱心な信仰的情熱と奉仕活動が、次第に共感を呼んで信徒を増やしていったのだ」ということを、たとえばローマの官僚の手紙などから推測していたわけですが、この本の著者はこれに推定しうる限りの数量をはめ込み、また現代の新宗教との比較なども行いながら、そのキリスト教の拡大の内実をできるだけ明らかにしようと試みています。 また、疫病や社会問題、当時のローマの道徳性や多神教のありさまなど、いくつかの要因がキリスト教の拡大に役立ったことも、推測を交えながらではありますが、(おそらく)これまでのたいていの身近な書物よりも説得力のある描き方をしていると思います。 そういう意味で、現在の日本で悩むキリスト者は、この本を読めばズバリ答えが出るということではありませんが、それにしても考える材料として、この本は必読ではないかとお勧めします。 |
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