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『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』

 
  上馬キリスト教会 著
  講談社、2018年11月27日
  価格:1300円 (+税)

 だからなに?って感じ。毒にも薬にもならぬ時間の無駄。
 

 いわゆる「せかゆる」です。ツイッターでのフォロワー数が70000人を超える、超人気教会のツイッター担当のお2人が執筆を担当されたようで、「まじめ担当」の方のお名前は奥付に出ていますが、「ふざけ担当」の方は匿名になっています。
 私の場合、最初読んだときは、まえがきからしてがっくり落胆しました。たとえ批判があっても「知りません」(p.4)と断言してあります。これは対話の拒否だと受け取ったので。しかし、しばらく経って読み返すと、そこまで深く考えていないんだなというニュアンスが伝わってきました。
 そう、この本はキリスト教や聖書について、深刻に考える本ではありません。深く考えず、「アハハ」と笑って読み飛ばせばいいような本です。きっと執筆者の方々もそういう読み方をされることを望んでいらっしゃると思われます。
 ですから、内容的にもキリスト教や聖書に楽しく親しんでもらうことが目的なので、そんなに真剣に悩みや疑問に答えてくれるような本ではありません。「へえー」と思わせるようなウンチクはいくつか登場しますが、「だからなに?」という感じで終わってしまいますし、ちりばめられているギャグのセンスが……これは関東人と関西人の完成の違いなのでしょうか、まったく面白くありません。
 面白くないギャグに深みのない内容で、ちょっとだけキリスト教や聖書について、あまり大事でない豆知識を得たいのなら、読んでもそんなに害はありませんが、読んでも得るものは少ないので、読むだけ時間の無駄で、どうせ読むならもっと他にいい本もあるだろうに、といった本です。
 ただ、この本も上馬キリスト教会も、キリスト教会の割には非常に人気ですし、ここのつまらないジョークのまじった軽薄なツイートも1000以上の「いいね!」がつく有様ですから、現代の日本人のキリスト教に対するニーズには最も応えているのが、このような教会なのかもしれません。だとすれは、日本人のキリスト教へのニーズもこの程度かなと、日本人自体の精神性の劣化も思わずにはおれません。
 そのようなわけで、当教会牧師としては、この本は積極的にはオススメしません。
 しかし、読まれるのは自由ですし、右のAmazonのリンクからポチッと注文されてもよいのですが、現在もこの日本社会で生きているキリスト教とその信徒のおおまかな全体像さえも理解するには全く役に立ちませんから、時間の無駄ではないでしょうかと進言しておきます。
 (2019年8月5日記)


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