iChurch LIBRARY



三十番地図書室:「オススメします」のコーナー

三〇番地図書館の受付にもどる

人類の起源、宗教の誕生ーホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき
 山極寿一・小原克博 著
 平凡社新書  2019年
  価格:840円 (+税)

 人はなぜ宗教を信じるのか、それは人類の進化といかに関わっているのか。その永遠の謎に最新の研究結果を踏まえて交わされる対談です。
 
 クリスチャンの中には創造論(神が6日間で世界を創造し、7日目にお休みになった)をそのまま信じている人もそこそこいらっしゃると思います。もっとも日本ではクリスチャンは1%前後の少数派であり、世間のほとんどの人は進化論を信じていますので、「私は創造論を信じています」と口外することをはばかっているクリスチャンの方がほとんどだとは思いますが。
 この本は基本的に進化論を前提に、ホモ・サピエンスがどのように発生し、どのように人類が宗教というものを発見し、身につけていったのかという事柄について、最新の研究結果から言えることを、霊長類学者と神学者の対談を通して、とてもわかりやすく説き明かしたものです。
 もし地球上に唯一の正しい宗教があるならば、それはなんだろう? 最も理想的な最高の宗教があるならば、どんなものだろう? そのような疑問をお持ちになったことはないでしょうか。その疑問は「そもそも宗教とは何なのか」、「神とは誰なのか」、「宗教や信仰は先天的なものなのか」といった数々の疑問に膨らんでもおかしなことではありません。特に、科学的な物の見方が身についた現代の私たちにとって、ただ創造論を信ぜよと言うだけでは、説得力に欠けるのではないでしょうか。
 この本では、そのような問いに対して、論理的かつ大胆に切り込んでゆき、脳の進化から心の進化、信仰心の発生から文明の発達、そして戦争やAIがもたらす問題まで、実に様々な観点から人間と信仰についた論考がなされています。あまりに多くのテーマが盛り込まれていて、全てについて深く考えるのは大変だと感じてしまうかもしれませんが、それらのうちの幾つかでも「もっと深く掘ってみたい」と必ず思えるような、刺激的な本です。
 そういうわけで、私自身とてもこの本を楽しみました。あなたにも、この本、おススメします。
(2019年8月7日記)

ご購入ご希望の方は、
こちら(↓)

iChurch LIBRARY

教会の玄関へ戻る
「キリスト教・下世話なQ&A」コーナを訪ねる

牧師にメールを送る