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 Q. 牧師さんには、なんでも相談してもいいんですか?

 質問者 「牧師さんって、いろいろ悩み事の相談にのってくれそうな気がするじゃないですか」
 牧師  「まぁ、カウンセリングに詳しい牧師もいますね」
 質問者 「街のカウンセラーって高いんですよね。1回何千円とか」
 牧師  「まぁ、たしかに相談事にお金を取っている牧師というのは聞いたことないけどね……」」

(2001年2月に受けた質問より)

 A. 牧師はカウンセリングのプロではありません。

  まず、はっきりさせておかねばならないのは、牧師というのはカウンセリングの専門家であることを意味しているわけではないということです。
  カウンセリングをちゃんと学んでいる牧師、あるいはカウンセラーとして何らかの資格を持っている牧師というのは確かにいますが、決してすべての牧師がそうだというわけではありません。
  なかには、「牧師は礼拝や説教のプロであって、カウンセリングなどしなくてよい」という信念を持っている方だっていらっしゃるのです。
  ですから、あなたが知っている牧師さんが、あなたの相談にのってくれる人なのか、どういった種類の問題にたいし、どの程度相談に乗ってくれるのか、それらは全てあなたがその牧師さんを見て、自分で判断しないといけません。

  牧師がカウンセリングの専門家であることを意味しない、ということが、もっとも恐ろしい形であらわれるのは、牧師が秘密を守ってくれない時です。
  カウンセリングの世界では、「守秘義務」- 秘密を守る義務は、当たり前の職務上のルールですが、さっきも言ったように、牧師はカウンセリングの専門家ではないので、ときどきこの当たり前のルールに対する認識が素人なみに浅い人がときどきいるのです。
  教会のほかの信徒には話してなくても、ときおり牧師どうしの話題に上げられてしまったりする事があったり、あるいは一般の信徒には話していないが、役員会のメンバーの間ではいい酒のつまみにされてしまっていたり、ということがあるのです。さらには例えば、事柄が教会でタブー視されやすい問題であったりすると、ウワサをしている方は、まるで正義の味方になって罪人を批判するような気分で……つまり自分はすっかり「いい事」をしているつもりで、他人のプライバシーを物笑いの種にして広めている、なんてことが起こりうるのです。
  じっさい、三十番地教会牧師であるこの私も、牧師になる前、かつて自分が信徒であった教会の牧師にした深刻な相談事を、勝手にウワサにして広められたことがあり、とてつもないダメージをうけたことがあります。その牧師も、自分は正しいことをしていると信じ込みながら、私のプライバシーを評論のネタにしました。

  ですからまず、牧師は相談事のプロではない、とおぼえておいてください(正式なカウンセラーの資格を持っている人は別です)。
  あなたがよく知っている牧師で、「この人には相談できる」と思っても、相談する時には必ず「秘密を守る」という約束をとってください。あとはあなたとその牧師の信頼関係の問題です。
  しかし、相談事であれば、お金を払って医者かカウンセラーにかかる方が、安全であることははっきりしています。

〔最終更新日:2001年2月26日〕

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